「人に歴史あり」とは言ったもので、人生生きていると色々なことがあり、喜んだり、傷ついたり、おこったり、悲しんだりします。身体も同様で、転んで怪我したり、事故に会ったり、病気になったり、生まれつきの疾患があったりします。一般的には身体に傷かつくと当然ながら痛みを感じ(感じない病気の方もいますが)、痛みを感じると、動かさない、体重をかけないなどの身体の防御反応が起こります。骨や腱、筋、等の組織はリモデリング(再構築)や、瘢痕(かさぶた)形成により修復するという素晴らしい機能が人体にはあります。しかし、たとえ傷が治ったとしても、かばっていた間に硬くなった関節や、体重をかけないことによって落ちてしまう筋力は勝手には戻りません。
その治癒過程で傷の修復を促進しながら、かばうことによって落ちてしまう機能(関節の動かしやすさ、筋力、かばった姿勢や動き)を改善させるのがリハビリテーションだと考えます。
このような怪我や傷の修復過程で起こる機能の低下を回復させていないと、筋力がない、関節が伸びないなどの不調が残ります。そして、それによって残る不調はもちろんですが、二次的に他の部位への影響が生まれます。
今回の表題である、Leg length discrepancy(脚長差)についてお話する前に、このような「傷」を負うことで生じる身体機能の低下について前置きしたのは、「機能低下によって脚長差が生まれる」と考えるからです。
脚長差には器質的(骨そのものの長さの違いによる)脚長差、と機能的(それ以外の要因による:股関節が曲がっている、膝が曲がっている等)脚長差があると言われています。
器質的脚長差はHeuter holkmanという学者の唱える説(成長骨端軟骨への圧縮ストレスは骨の成長を抑制する)があり、これにより骨の長さが変わると言われています。
機能的脚長差は前述のとおり、曲がってる、ゆがんでる等によって生じる、骨の長さ以外の原因で生じる足の長さの違いです。
今回は自分を例にとって、どのような怪我をして、その結果どのような姿勢となり、筋力低下が起こり、痛みが生じるかについてお話をしたいと考えています。
怪我と姿勢と痛み、この関係はあくまでも仮説でしかありません。しかし、一つの身体の中で起こっている出来事が、何の関係もないはずはない、と私は考えています。
なぜなら足の長さは骨盤の左右の高さの違いに影響し、それに伴い背骨の配列や、頭の位置、肩の高さに影響を及ぼします。
小さな差でありながらも、身体を支え続ける体にとっては大きな差であると考えます。
何回かに分けて、脚長差(足の長さの違い)についてお話させていただきます。