座位保持時間の延長とランニング  

この絵はRichard Dawkinsという学者の描いた絵です。

今日の我々の生活は、右端のパソコンの画面に向かって背中が曲がって、ずっと座って一日過ごしているような姿勢でいることが大半を占めているように思います。

さらにコロナ禍で座位保持時間が30%程度増加し、ますますその傾向は強くなっていると感じます。

勤務先の病院に来る子供たちをみると、コロナ禍で部活やクラブ活動が制限され、家でゲームや動画をみて過ごす時間が増え、背中が丸まった姿勢の子供たちが増えている印象です。

普段背中を丸めて一日中座っている大人や、ゲームや動画ばかりで遊んでいる子供が、スポーツをやるとどうなるでしょう。

一般的に運動は体によいとされていますが、悪い姿勢で行うと逆に身体を壊してしまうと思います。

実際、勤務先の整形外科に来る方は、不良姿勢でスポーツを行った結果、局所に障害をきたしてしまった方を多く見ます。

例えば、立った姿勢が背中が丸まった人が、しゃがんだらどうなるでしょう。

胸が丸まったままだと、骨盤も丸くなってしまい、膝が前に出てしまします。

 

物理で考えると重心線(耳から床にひいた垂線)から離れた位置にある関節には力が多くかかるため、

負担がかかります。背中が丸まったままだと、腰と膝に負担がかかってしまいます。

しゃがもうとしたときにこのような姿勢になってしまう方は、実はとても多い印象です。

 

そして普段からこのような姿勢のままで、いざ走ろうとすると上の右図のような片足立姿勢の連続動作がランニングフォームとなってしまい、膝や腰にとても負担がかかります。コロナ禍でランニングを始めた方が沢山いらっしゃいますが、最近走り始めたら膝が痛い、股関節が痛い、腰が痛いと訴えられる方を散見します。これは

テレワーク/スマホ、ゲーム ⇒ 座位保持時間延長 ⇒ 不良姿勢での座位 ⇒ 体幹機能低下 ⇒不良姿勢でのラン ⇒関節の局所へのストレス ⇒ 痛みの発生 

という発生機序があるように感じます。

走ることは、手軽にできますし、外で動くことでの充実感も得られます。しかし、走るには走るための準備が必要であると私は考えています。

冒頭の絵で考えると、トラブルなくランニングをするには、槍をもって獲物を追いかけていた時代ぐらいの姿勢が必要であると考えます。

次回は走るための準備についてお話します。

 

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