前回は発生のメカニズムや、実際どうやって治るのかなどの話をさせていただきました。今回は「実際はどんな感じか」についてお話させていただきます。
感じでいうと「かさぶた」ができた時を想像してみてください。
下の図は切れた組織がどうやって治っていくかです。細かい話は割愛しますが、かさぶたができて、瘢痕組織が徐々に筋繊維の中に網目のように入り込んで組織を結合してつないでいくのが修復過程です。
私は伸ばすときの痛みが「伸ばしてはいけないものを伸ばされている感じ」が、「硬くて痛いけど伸ばしてはいけない感じではない」に変わっていくのをまず指標にしています。前回の話でもありましたが、肉離れは損傷の場所、度合いによって予後に開きがあります。ですのでこの感じが変わるタイミングは様々で一概には言えませんが、比較的軽いタイプⅠならば1~2W程度、タイプⅡならば4~6W程度(もしくはもう少し)かかります。それまでは無理にストレッチをするとせっかくできてきたかさぶたを無理やりはがしてしまうことになりますので控えた方が良いです。この感じになって、60%くらいの力が戻ってきたらすこしづつ走り始めることは可能です。でも一気にはダメです。ここが難しい。
まずは「どんなふうに痛いか」これが大切な指標です。
かさぶたは無理にはがしたところが時々盛り上がったりしますが、これは体の組織はストレスに応答する形で再生するため、はがされるという強いストレスがまだできていない組織に加わった結果、瘢痕が大きくなってしまったためだと思います。なるだけ収縮できる筋組織にするためにもこの修復過程で無理をしないことが大切です。
まずは自分の「感じ」が大切です。
そして、環境が許すのであれば、肉離れについて知見のある医師の診断を受け、損傷分類と重症度を診断してもらい、復帰に至る道筋の指示をうけるとより安全であると考えます。
y Tero A H Järvinen on 03 April 2018.
以上です。